第一回「西日本フェス」主催者、オーディエンス、誰も想像つかないその幕開けの広島編にRock’s UPボランティアスタッフの二人が潜入しました。普段、広島インディーズのライブにも足を運ぶHIRO.と、県外勢はましてや広島インディー初心者である松本明莉の対談形式による体験レポをお楽しみください。


HIRO.今年の4月から始まった西日本フェスですけど、一番最初が広島編。明莉さんはどのバンドから見に行ったんですか?


松本明莉(以下、明莉):バックビートで“ピカピカ遺伝子”を観ました。彼らのライブ初めてだったんですけど、ステージ裏の階段からパン一&サスペンダーで登場した時は動揺して、ちょっと帰りたくなりました(笑)でも、近寄りがたい見た目とは裏腹に、乗りやすい構成の曲にピースフルな下ネタキャラに引き込まれました。時にはフロアに降りて子供を追いかけ回し、会場は終始、笑いに満ちてました。広島編の始まりであり、本当の西日本フェスの始まり、とんでもない傷を残した幕開けでしたね。広島の隠しきれない爆弾でした。


HIRO.僕が最初に見たのは“TGW-AFTER EFECT”です。ベースとドラムは打ち込み。その上を二本のギターの轟音が踊る独特のバンド。スローダウンの小さな空間を“侵食する”容赦ないアクト。圧倒的な演奏でスタートを飾りました。そして、彼らの出番が終わって登場した“ふるきよきじだい”の“はらだまんぞう”が、うどんを即興で作るという謎パフォーマンスで爆笑をかっさらい、スローダウンは異様な雰囲気でスタートしましたよ。


明莉:最初はどの会場も広島勢から始まりその後からいよいよ、県外勢のライブがスタートでしたね。私は京都の“ザ・シックスブリッツ”を観ました。電子ウッドベースで、どこか懐かしさも感じながら、MC中の「ロックンロールをやりにきました。」の言葉の通り、ザ・ロックンロールの一直線の演奏に胸が熱くなりました。『夜とダンス』という曲では広島編に来ていた京都勢参加のコーラスもあり、西日本フェスらしい一面を感じましたね。これが、肩を組んで一緒に口ずさみたくなる曲で、この日一番残っているフレーズです。

 

Bellbottom from 80's
Bellbottom from 80's

HIRO.:僕の二番手は同じくスローダウンで“”を観ました。福岡からサイケとダンスが融合したロックをブチまけに来たスリーピースバンド。アッパーなチューンをバチバチ重ねて、本人たちもフロアに飛び出したり、バーカウンターに昇って叫んだり、西日本フェス自体のテンションをガンガン上げてました。ロックンロールという感情を伝える手段の最高の使い方と、それが産みだす大きな熱を広島に置いていってくれました。

 

明莉:私はその後、移動してAGITに行きました。

AGITってその名前通り、「大人の隠れ家」の雰囲気でちょっと怪しい匂いがするじゃないですか。

 

HIRO.:ああ、分かります。名前が最高に隠れ家なライブハウスですよねー(明莉さん、もうすぐ大人じゃないか…)

 

明莉:でも入った途端に澄み切った森に入った様な感覚になったんです。大阪から来た“オオハシ”がライブをしてました。どこか陰のある女性のギターボーカルで、清らかで淡々としている様だけど、曲が進むにつれてかなりの熱量が増し、その勢いに会場が包まれていきました。変拍子で繰り出されるリズムに水のような透明感、こぼれ落ちるような雫を想像して、一曲が自然の中にいる体感でした。一気に熱が爆発する瞬間にうねるベースライン、最後の曲インストのドラムが圧巻でした。

 

明莉:この辺りで、各県のバンドの演奏が終わって中盤戦へという感じでしたが全体的にお客さんの盛り上がりなど何か感じられましたか?

 

HIRO.:お客さんも初めてのイベントだからか、じっくり見ようっていう人が多い感じがしました。初めてライブに行く時のドキドキ感があった気もします。

 

明莉:そうかもしれないですね。オーディエンスもバンドもお互いを探っている感じがあったかもしれません。私自身はバンドの方の個性が解らない分、より一曲ごとの音楽にフォーカスして楽しみました。HIRO.さんは中盤戦どこからスタートしたんですか?

 

HIRO.:次はバックビートに移動しました。この時間帯は広島バンドが横並び。どこに行くか悩みましたけど、最近県外でも活躍している“cenlo”を選びました。彼らが聴かせてくれる盤石のグルーヴはさらに強靭になっていて、メンバー四人が伸びやかに力強い演奏をしてました。このイベントに手応えがあったんじゃないですかね。最後の『呼吸』という曲の深くて永いメロディと歌声は、どこまでも自由でしたよ。

スローダウンに戻ると、名前からインパクトのある大阪のバンド“理科室コーヒー実験ブレンド”のライブを観ました。ポップな楽曲を文字通り全身で演奏しつつ、お客さんを楽しませながら空間を笑顔にしていく。一曲一曲に注ぐパワーが尋常じゃなく煌めいていて、音楽の「楽」の部分を思い切り味わえるライブでした。

そういえば、この時間帯に雨が降り出したんですけど、西日本フェスの会場は全箇所簡単に足が運べる距離だったので、そういう配慮も嬉しかったです。後は、改めて広島ってライブハウス結構あるんだなって。今更ですけど。

 

メシアと人人
メシアと人人

明莉:私は中盤戦“ムカイダー・メイ”からスタートして京都の“メシアと人人”を観ました。がむしゃらなギターも雑草魂の様に思えてだんだん癖になって、耳も目も離せなくなるし、それを支えているかに思ったドラムも、独立してメロディを奏でているかのように表現豊かで。ライブが進むにつれてそれぞれが重なりあって一つの生命力を感じました。ギターとドラムというツーピースとは思えない音圧が会場のオーディエンスを惹き付けてましたね。どことなく感る切なさも魅力的でした。

 

HIRO.:僕は再びバックビートへ向かい、大阪の“Emu sickS”のライブを楽しみました。心躍るようなビートに、ライブハウス全体を揺らすギターの音を刻み付けていく。オーディエンスのテンションをマックスまで引き出し、とことん躍らせて、自分達も笑顔で更に心地よいリズムを鳴らしてくれる。見事な相乗効果で会場の熱が高まり、バックビートはいよいよ最終局面を迎える盛り上がりでした。

 

明莉:私の最後の県外勢は京都からの“The Waverfall”でした。疾走感、爽やかさを会場に響かせていました。女性のドラムの方の笑顔が印象的で。キラキラしていてポップの匂いを感じさせるんだけど、ギターが力強いビートを刻んでいて青春ロックを思い起こしました。一緒に駆け出したくなりましたね。帰りにはデモCDもゲットしました!

そして、いよいよ西日本フェスの広島編の終わりへ、最後はどの会場も広島勢がトリでした。

 

HIRO.:トリはウサギバニーボーイを選びました。沢山のお客さんを前にして、いつも通り飄々と、でも確かな熱をみなぎらせて、定番のダンスチューンを繰り出していました。レア曲『不安万能感』までも演奏する出し惜しみなしの全力ライブ。途中でギター南の弦が切れるアクシデントもありましたけど、最後は『素敵な生活』から『干からびる寸前の衝動』を叩きつけて、圧倒的な存在感で最高のカーテンコールを演出してくれたと思いました。


ウサギバニーボーイ
ウサギバニーボーイ

明莉:HIRO.さんはその後、番外編にも行かれたとか?

 

HIRO.:JIMO CAFÉで“CARD”という奈良のバンドのレコ発を観て来たんです。西日本フェス参加者はドリンク代のみで入場可。超お得価格で絶品ライブを堪能してきました。ツインギターの美しいメロディが響く、贅沢な時間。こういう試み、次回以降もあるといいですね。

 

明莉:西日本フェス第一回広島編、率直にどうでしたか?

 

HIRO.:まず、イベントの始まりを見るという、貴重な体験でした。

 

明莉:しかも県外を横断して行くライブサーキットという形式の中で、その始まりが「広島」という偶然の奇跡!私は広島勢も含め、名前を知っているけど知らないバンドが多かったので「知らない世界を知ろう!」とイベントを回りました。出演者がジャンルによって選ばれていないので、最終的に幅広いジャンルの音楽を浴びる事が出来て参加出来て良かったと思いました。ライブが始まると想像していた「各県代表です!」といった感じはしなかったのですが、HIRO.さんが以前からライブに行かれている広島勢のライブはどうでしたか?

 

HIRO.:いつも通りの力強いライブでしたね。県外のバンドは、きっといつもより熱量を上げたライブをしていたんじゃないですかね。それぞれ切磋琢磨するというより、先ずは自分達のライブを広島の土地で見せつけ、次に繋げる演奏をしようという意識が強かった気がします。それは広島編の主催者であるウサギの高宮さんが狙っている事にも通ずる事で、このイベントが来年、再来年と続いて、音楽の輪が広がっていけば面白いですね。

 

明莉:インタビューの際出てきたキーワード「バンドの輸出」はオーディエンスにとってもとても良いなと思いました。特に他県のバンドについては、「他県のバンドを知ろう!」と思うとどこから手を出したらいいか分からないけど、今回気になったバンドがいたら、帰ってtwitterで検索すれば名前が出てくる時代!そこからチェックすれば情報を押さえられますからね。なかなか県外には行けないからまた広島来て!という願望も生まれました。

 

HIRO.:こういうイベントを続けて貰えるように、僕たちオーディエンスも、もっともっと盛り上がらなくちゃいけないなあと、そんな事も感じる一日でしたね。

 

(※写真提供いただいた皆様、誠にありがとうございました。)

プロフィール

HIRO.

 広島在住4年目突入。カッコいい音楽、楽しい音楽を求め、週末は市内を彷徨う根っからのライブマニア。迷走の人生を音楽で乗り越え、気づけばアラサー。最近の口癖は「痩せたい」。

松本明莉

生まれも育ちも広島市南区。デザインを学ぶ大学院生(仮)。冴えない高校時代を音楽を支えに乗り越え、現在も一人黙々と音楽の幅を開拓中。いなスト「音符野郎」の生みの親。特技は半角スペースと全角スペースの判別。


 ★西日本フェス 福岡

2015年5月2日(土)

会場:graf、public space 四次元、MUSK

料金:¥2,000(+ドリンク代500円)

出演者:the gofuku town/The phrase Tample/The Waverfall/Emu sickS/森山タカヒロ BAND/カングルワングル/MIRABILLES/THE INCOS/理科室コーヒー実験ブレンド/Stephen Smith/知ったかブリリアント/Bellbottom from 80's/ふつうのしあわせ/ARTIFACT OF INSTANT/きつねのよめいり/リツコ/ベランパレード/the loupes/about a ROOM

*詳しくは西日本フェスのWEBでチェック!

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